『薄くて軽い feat. 初音ミク』について

『薄くて軽い feat. 初音ミク』という曲を作りました。

Short MVの文字入れとタイトルロゴをタチマナユ(https://twitter.com/tachimanay53740)

がやってくれ、マジで最高で最高です(最高~~~~)。

-ここからテンプレ-

影響を受けたであろう曲をあげながら、作ってるときに考えていたことや、今思うことを書きます。

作ってるときはかなり無心の時間が長いので、ほとんど全部後付けです。作ってから時間も結構経っているので、他人の曲に「影響元これでは?」と言ってるのとほとんど同じ感覚でやってます。

基本的にSoundQuestを数年前に読んだときに得た知識をもとにやっていて、ある程度そこらへんの作法に慣れてないとかなり読みにくいかもしれません。意味不明な個所は適当に読み飛ばしてもらって、貼ってある曲の該当箇所を聴いてもらうだけでも面白いかと思います(僕が好きな曲を知ってもらえるだけもかなり満足)。

コードはいわゆるディグリーネームで書いています(ディグリーネーム - SoundQuest)。「ドレミファソラシド」とかは階名(いわゆる移動ド)です。

理論的に間違ったことを言ってる可能性が大いにあり、めちゃくちゃなことを言ってたらすみません……。ご指摘いただけると幸いです。

-ここまでテンプレ-

曲リスト

とりあえず記事内で触れた曲のリストを置いておきます。

open.spotify.com

構想

今回はかなり明確にとっかかりがあり、かなりこれです。

open.spotify.com

ALL Nighter vol.8でGlacier - Someday を聴いてめっちゃ良いな~となり、過去曲聴いて知った感じです。

『views: sand glider』でめちゃくちゃ感動し、練習で真似しようとビートのループを作り、ポロポロとピアノのリフ弾いて大体イントロの原型ができ、そのまま曲にした感じです。正直これが凄いということで話の半分以上は終わりだと思います。一応パクリのレベルまでは行ってないつもりですが、かなりこれです。

あとは作り始めた時期にTennysonの配信のアーカイブを見て、カチャカチャしたループを刻んでるのを真似しようとしました。

youtu.be

イントロ

上述の通り原型ができた後、音足したいな~となり、流石に?と思いながらさよならアンドロメダ過ぎるsin波を入れた結果かなり良く聴こえてしまい、そのまま採用しました。流石にさよならアンドロメダ過ぎる気がするけどもうこれが頭から離れなくて……。

youtu.be

1A

『Glacier - views: sand glider』的なビートで手癖的なコードとメロをのせたという感じ。リズムがややこしめな分メロとコードは素直にというイメージ。

キックとかスネアが食ってたり遅れてたりする歌ものはここら辺?(ただメロは結構素直に置いてあるという点で違うかもしれない)。

Tomggg, kiki vivi lily - License of Love

Tomggg, Vira Talisa  - Turn The Lights On

相変わらずデフォで掛け合い的なことはやりたく、ここら辺です(ちゃんとプレイリスト作りこんでないので思い出し次第追加していきます)

open.spotify.com

1B

コード的な面白味を出したいな~となり、こねた結果

IVM9 | IVM9(#11) | IIIM9 | bIII6

IIm7 Iadd9/III | IVM7 II7/#IV | VM9 | IIm7/V

となりました。理屈は良く分かってないですが、平行移動は基本許容できるということにしてIVM9(#11)→IIIM9→bIII6と、半音で下降してます(今思ったこととして、こういう平行移動ってピアノだと黒鍵と白鍵があって運指が難しく、他方でギターとかピアノロール上とかだと簡単にできるから、その意味でギターとかピアノロール的な発想かもしれない(どっかで誰かが言ってたやつの受け売りかも))。サビ前IImから上がっていくのは様式美として、Vのところを工夫しました。こちらも理屈は良く分かってないですが、II7/#IVで転調してるとしてVM9に行っても良いみたいな気持ちです。

メロについて、コードが少しややこしめな分、それを聴かせるためにロングトーンかつ反復になるようにしました。「(季節)の継ぎ(目を)」と「(ま)たいだ(ところを」が粗く見れば同じ動きをしてます(コード聴かせた過ぎで露骨だろというツッコミがあるかもしれない(でも気持ちいいしな~))。

シ→ソのメロの動きが好きするのでここでも露骨に。「(季節の継ぎ)目を」のところと、フルートの掛け合いのところ。今気づいたんですが「(気がし)て」のところのコーラスも転調先のシ→ソになってますね。好きなフレーズ使いまくりたいけどやり過ぎると飽きるというジレンマがあり、一時転調したタイミングでやると飽きにくいという解決があるかもしれないです。

編曲的な話をすれば、中域辺りにBassoonとFrench Hornを入れたのが個人的に新しい試みでした。ここら辺の音域でテンションを鳴らしたり、半音で動かしたりすると気持ちいいということを学びました。イノタクさんがTwitterでそんなこと言ってた気がするけど該当ツイが見つからない。

サビ

かなりどうしてこうなったのか覚えていないのですが、コサメガ名義ボカロ直近二曲がサビ(ドロップ?)をワンコードで押し切る曲が多かったので今回はコードがチャカチャカ切り替わるサビにしようとは思っていました。

サビ頭は4536からちょっとひねって

IVM9 Vaug V IVdim7 | IIIm7 Vm7 I7

みたいなことになっています。Vaugのところで左にいるClarinetが「レ#→シ→ソ」とホールトン的なフレーズになってるのがお気に入りです。メロはスケール外の音を使ってないのでスッと聴けもすると思います。

サビ頭のキメはここら辺?

ザ・なつやすみバンド  - たったひとさじの日々

bonobos - Gospel In Terminal

ここまでいろんな楽器がガチャガチャ掛け合う感じだったので、その分「(薄着の命は)たのしげ」のところでリズム合わせるのが映えてる気がします。

「(一回転した反)動で」のところでHornが「ソ→ファ」と出張ってくるのかなりお気に入りです。CRCK/LCKS - ひかるまちの2:30~とかグスターヴ・ホルスト, ボストン交響楽団, 小澤征爾 - The Planets, Op. 32: 4. Jupiter, The Bringer Of Jollity の3:06~とかで気持ちいな~と思っていつかやりたいと思ってた記憶があります。

「日暮れのそばまで」はイントロのピアノのリフの反復になってます(露骨過ぎかも)。

2A

1Aでズレてた部分をちょっとだけ矯正したイメージ。リズムで展開作って他はそれに合わせる感じ。

2B

2Aがリズムで展開作ったので、2Bはコードで展開を作ろうとなり、こちらもこねた結果

IVM9 | IVM9(#11) | VM9 | #VM7

VIm7 #Vaug | I/V Iaug/#IV | bVIIM9 | IIm7/V

になりました。理屈は良く分かってないですが、こちらも大体平行移動はオッケーっしょ(笑)という感じです。1BがIImから上がっていくやつだったのに対して、こちらはVImから半音でベースが下がっていくやつ(クリシェってやつ?)。bVIIM9はどうしてこうなったのか良く分からない。Vの前にbVIIに行くやつがあって、それ?赤い鳥 - 翼をくださいの1:21とか東京スカパラダイスオーケストラ, 長谷川白紙 - 会いたいね。゚(゚ ́ω`゚)゚。 - feat.長谷川白紙の0:59~とか。

2サビ

基本1サビと同じ

D

3+3+3+3+4/8みたいなノリに。一応イントロのピアノのリフが3+3/8っぽいノリを含んでるのでそれで突然感は緩和してるつもりです(うまくいってるかはわからない)。

コードの切り替わりを遅くして、IVM9とIIIm7(-9)を押し出す感じ。「(会え)たのに会わずに過ぎ」がファでIIIに対して減9度で少しきつめの響きになってると思います。ファ自体ミに行きたい気持ちが強いので全体的に緊張感がある?IIIm7(-9)は婦人倶楽部 ‑ 東京カラーのAメロでいいな~となり、今回使いました(東京カラーはコードの内側に入れてるのに対して、薄くて軽いはコードの外側に置いてる)。

E

歌としては新しいメロだけどイントロのピアノの変形なので耐えてるという気持ちです。

3サビ

同じ

3A

ちょろっとやって終わり

その他影響を受けた曲
    • そもそもは秋曲にするつもりなく作り始め、どんどん秋によってきたんですが、最高の秋曲としてずっと念頭にこれがありました。大名曲過ぎる。
    • 編曲のノリとか影響受けてると思います。大名曲過ぎ(これがTomgggさんのプレイリストに入ってて婦人倶楽部を知ったという経緯もあり思い出深い)。
    • 大名曲過ぎ。(あれこれ言い過ぎるのは野暮かつめちゃくちゃなこと言ってたら申し訳ないという気もあるのですが、それはそれとして書くと)歌うことについての歌だと思ってて(アーティストとしての規模感の違いとか、自分の声で姿を晒して歌っているかそうでないかの違いとかあるものの)歌もの作ってるものとしてめちゃくちゃ共感できて、もっと言えばそれは結局人間の弱さとか情けなさとかの話に一般化できると思ってます。そういう内容を、ちょうどいい温度感(というと雑過ぎかも)で歌ってくれる曲で本当に好き。聴いてからはずっとこの曲が頭にある状態で暮らしてます(し『薄くて軽い』もその状態で作ってました)。編曲面でも影響受けてるしMVの質感も影響受けてると思います。
    • 今回のバイブス曲たち。
曲以外のもの
    • ???「一倍速って、普通の速度やろ。変な言い方すんなよ」
    • 秋曲作ろうと思ってから『よつばと!』の9~12巻を中心に読み直して気持ちを得ました。よつばと!10巻収録の第69話「よつばとさいかい」のこの一コマはモロ(この後の展開としては、よつばが遊具で遊んでしまい近道になってないよとツッコミが入る(良すぎ))。
    • 作ってる時期短歌にハマり、凄いな~となってました。短歌全然良く分かってないのであれですが、そもそもの話、比喩っておもしろいな~となり、今回多用しました。
    • 『標準時』特有の話として、サンプリング的な手法がおもしろいな~となってました。例えばこんなの。
      • AならばBでありかつBならばAであるとき あれは彗星?
      • それは二十世紀を通じての潮流でしたがまもなく離陸いたします
      • 最後までお聞きの方に耳よりの小さな夜の室内楽
      • それはよくある質問だ繰り返し変奏される主題のようだ
      • 本日の放送は終了しました。私はまだ、考え事をしています
    • 学問っぽい言葉とか、アナウンスっぽい言葉とか、とにかくある種人間味?がない淡泊な?言葉をポエムの文脈に持ってくるとおもしろいみたいなことだと理解しました。ここまでくると流石に野暮すぎるかもしれませんが、『薄くて軽い』はスマホとかノートPCとかの売り文句の文脈で使われるイメージで、これを曲のタイトルに持ってくることのおもしろさ?みたいなものが出ればなという狙いがあります。
おわり

終わりです。変なこと言ってたらご指摘いただけるととても嬉しいです。